第2回:手荒れの原因と対処を知ろう。 ― 最強肌を作る!多忙な看護師でもできる簡単ケア。

看護師のための知の宝庫

今日から使えるプラスの知識

「看護師のための知の宝庫」はエルユーエス看護師により運営されております。

第2回:手荒れの原因と対処を知ろう。

手はナースの命。正しいケアで看護に優しさを。

ナースの肌悩みの一つに、手あれがあります。
手あれは感染を媒介する原因ともなるため、毎日のケアが欠かせません。ハンドクリームをポケットに入れて、気がついた時に塗り直すという方も多いのではないでしょうか。

まずは皮膚の構造を理解しよう。

■皮膚の構造
皮膚は人体全体を覆う最大の臓器で、私達の身体を外界から保護しています。その厚さは平均2mmで、面積は畳約一畳分です。皮膚は外界にふれる部分から、表皮・真皮・皮下組織の3層構造です。

■表皮
表皮の厚さは約0.2mmでラップ1枚ほどです。真皮側の一番深いところにある部分から、基底層・有棘層・顆粒層・角質層の4層構造です。

・基底層は、メラノサイトや皮膚に異物の侵入が確認されると、リンパ節に伝えてアレルギー反応を起こし、侵入被害を取り除く働きをしています。基底細胞というもので構成されていますが、基底細胞は約19日かけて細胞分裂し、新しい細胞が生まれます。生まれた細胞は順次、有棘層へと押し上げられていきます。

・有棘層は、基底層の細胞分裂で生まれた有棘細胞の層で、表皮全体に栄養を運ぶ役割があります。また角質層や顆粒層を構成するたんばく質の合成もしています。

・顆粒層は、角質層のすぐ下にあり、天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質の原料が作られます。

・角質層は、表皮の一番外側にあり、基底層から細胞分列を繰り返した細胞が死んだものです。核のない角質細胞が10〜20層重なって角質層を構成しています(顔の角質層の厚さは0.001mm:10層以下で、手足は50層ほどと部位によって層の差があります)。NMFや細胞間脂質などのバリア機能の働きで潤いを保ち皮膚を乾燥から守っています。表面には皮脂と汗が交じり合ってできた皮脂膜があり、外界からの刺激から皮膚を守る天然のクリームの役割をしています。

■真皮
真皮の厚さは、約1.8mmです。
70%は膠原線維(コラーゲン)と呼ばれるタンパク質の線維でできています。コラーゲンはネットのように網目状の構造を作っていて、その網目を弾性繊維(エラスチン)が所々をつなぎ止め、肌の弾力を維持しています。エラスチンは真皮の1〜2%しか存在しませんが、肌のハリには重要で、これが減少するとシワやタルミの原因となります。

■皮下組織
ほとんどが皮下脂肪で、外力から身体を守るクッションの役割をしています。

このように皮膚は3層、その中でも表皮は更に4層に分かれた構造となっています。

手あれはなぜ起こる?手あれのメカニズム。

手あれは、表皮の角質層にある天然保湿因子や細胞間脂質などのバリアが崩れ、乾燥を起こしている状態です。 一旦荒れ始めた皮膚は外界からの刺激に弱くなり、水、紙、植物、土、ほこりなど元々問題がなかったものを触っても荒れやすくなってきます。では、なぜ乾燥が起こるのでしょうか。

手の乾燥の原因の一つに、手洗いがあります。手洗いではハンドソープを使うことが多いですが、除菌系のハンドソープは皮膚に刺激が強く、表皮の皮脂膜などを取り去ってしまい皮膚のバリア機能を壊してしまいます。そのため角質層のバリアが崩れ、保湿ができなくなり乾燥を引き起こします。

また、アルコール入の擦式消毒剤は、アルコールが揮発する時に、一緒に手の水分も揮発させてしまうため肌の乾燥を招きます。他にも、紙を多く扱う、洋服やリネンなどの布類を頻繁に扱うことでも、肌の皮脂膜は奪われることも乾燥の原因となります。

手あれの初期は指先がカサカサとする程度が、進行すると、赤み・肌のごわつき・痒み・痛み・ひび割れ・出血・水疱などが出現し日常生活に支障をきたします。ひどくなると、進行性指掌角皮症(主婦湿疹)や、点状陥凹(爪母の皮膚が荒れることにより爪の再生に影響を及ぼし、デコボコとへこんだ爪になること)・二枚爪(爪先が二枚に裂けてくること)といった爪の変形やトラブルと招くこともあります。

原因が、頻回の手洗い・日常の水仕事・消毒液の使用・刺激の強いハンドソープなど、生活の中にあるため、一度荒れるとなかなか改善せず、進行した場合は皮膚科で軟膏を処方されることがあります。

手荒れを感じてからケアするのではなく、手荒れをしないようにケアをしておくことが大切です。

保湿はハンドケアの基本。成分表示をチェックしてみて。

手荒れの原因は乾燥ですから、ハンドケアで重要なのは保湿です。
保湿のために使われるものの代表としてハンドクリームがあります。保湿のために使うのですから、内容成分に保湿成分が含まれていることが大切です。

保湿のための化粧品原料は無数にあります。代表的なものだけ紹介しますので、お手持ちのハンドケア用品の全成分表示を見直してみましょう。

◆油分:オイル・クリームなどの油分の多い化粧品のベースとなっていて、肌に入れた水分を逃がさないようにフタをする役割があります。保湿力は、弱です。
例)植物油(アボカドオイル・オリーブオイル・米ぬかオイルなど)、動物油(スクワランオイル・ミンクオイルなど)、鉱物油(ミネラルオイル)、流動パラフィン(ホワイトミネラルオイル) など

◆吸湿性のある成分:水分を吸収する性質があり、湿度が低いと保湿力が落ちる成分です。 保湿力は弱〜中です。
例)アミノ酸、尿素、PCA(ピロリドンカルボン酸)、グリセリン、PG(プログレングリコール)、1.3BG(ブチレングリコール) など

◆水分保有力のある成分:真皮にもともとある成分が多く使われます。角質内保湿として作用し、湿度が下がって威力を発揮します。保湿力は、中〜強です。
例)ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、ヘパリン類似性物質、ポリグルタミン酸 など

◆水分をサンドイッチ状に挟み込む成分:湿度がどんなに下がっても水分をキープします。保湿力は、強〜最強です。
例)セラミド(セラミド2、3、10など後ろに数字のついているもの)、セラミド以外のスフィンゴ脂質(スフィンゴリピッド)、レシチン、ステアリン酸コレステロール など

このように保湿クリームには、水分を抱えて離さない成分が保湿成分として配合されていることが大切です。

保湿成分が1種類しか配合されていないということはほとんどなく、そのクリームが全ての働きを持てるように組み合わせて配合されています。まずは内容成分を確かめた上で、お好みのテクスチャーやアレルギー出現の有無を確認し、予算などを検討して選んでいきましょう。

手は常に外気にさらされているだけでなく、何かに触れ作業をしています。
パソコンのキーボード操作も乾燥の原因となるため、ハンドクリームは、水仕事・アルコール使用後だけでなく、「気づいた時に塗る」がポイントです。手のひら・手の甲だけでなく、指の横や指先・爪の周りに至るまで、マッサージをするように丁寧に揉み込んでつけていきましょう。

上級編―手あれ予防の裏技をご紹介!

手あれを予防するために、水仕事の前に脂肪分の多いシアバターやマンゴーバターを塗っておくという裏ワザがあります。乾燥の原因の一つに、洗剤などに含まれる合成界面活性剤がありますが、合成界面活性剤は皮膚の油分とくっついて取り除いてしまうため、皮膚のバリア機能の低下を招きます。

水仕事の前に、予めシアバターやマンゴーバターなどを塗っておくことで、皮膚に一枚油分の膜を貼ったような状態を作り、合成界面活性剤が自分の皮膚の油分にくっつくのを防ぎます。手あれ初期の方だけでなく、手荒れが進行してしまった方にもオススメな方法です。

今回は、ナースのお悩み「手あれ」を取り上げてみました。

私達の皮膚は一枚です。顔の乾燥肌が老化肌に繋がるように、手の乾燥肌も手の老化に繋がります。特に手は、相手の年齢が見える部分だとも言われ、意外に見られているパーツでもあります。フェイスケア・ボディケアだけでなく、ハンドケアも美活に加えて、イキイキと過ごしていきましょう。

■参考文献
1)素肌美人になるためのスキンケア美容医学事典/吉木伸子著/池田書店
2)日本化粧品協会検定®公式 1級・2級対策テキスト コスメの教科書/主部の友社

記事一覧

■著者プロフィール

神沢充美

神沢 充美
2011年より、素肌の教室「Ecole de la Peau nue(エコール ドゥ ラ ポーニュ)」主宰。素肌の専門家として、手作りコスメによるスキンケアを指導。一人一人の肌質に合わせた内容で、好評を得ている。

【取得資格】
ハンドメイドコスメティックス協会認定、H・C・A認定講師、トータルスキンケアカウンセラー、日本化粧品検定協会認定、コスメコンシェルジュ、公益社団法人、日本アロマ環境協会認定、アロマテラピーインストラクター、サードメディスンプロジェクト、プロジェクト1、2修了、正看護師

【ホームページ】
【Ecole de la Peau nue】

セミナー情報など

コスメ塾:大阪、京都、東京
詳細はHPを御覧ください。セミナー情報
※セミナー情報は、随時ブログとフェイスブックで告知しています。

ページトップへ

← 看護師のための知の宝庫TOPへ